競馬やボートレース(競艇)を予想しておられる方はご存知と思いますが、いずれもかなりコンピュータを用いた予想が流行しています。競馬のポータルサイトであるnetkeibaには的中率と回収率を重視したAI予想がありますし、無料のCP予想も昔から稼働しています。
また、ボートレースにおいては、公式がコンピュータ予想を提供して出走表の予想材料のひとつとしています。こちらは自信度が☆1から☆5まで分けられており、実際に☆の数が多いほうが的中率も回収率も良いという統計が出ています。
しかし、これまで競輪では長らくそうした試みが行われてきませんでした。それがなぜかという原因についてお知らせするとともに、最近の競輪予想の環境の激変と、おすすめのAIサービスについて解説しましょう。
競輪はコンピュータで予想するのが困難な競技
本質的な面において、競輪はコンピュータで予想を実施するのが困難な競技です。なぜなら、競輪はレースにまつわる要素の多くが複雑であり、これまでのコンピュータの性能では予測が追いついていませんでした。
競馬やボートレースにおけるコンピュータの予想も完璧でないところに、それ以上の不確定要素が飛び交う競輪ですから、とても太刀打ちできません。
かつて、雀聖と讃えられた作家の阿佐田哲也(色川武大)氏は、競輪は最後にたどり着くギャンブルの王様であり、ギャンブルの終着駅であると語りました。
博打を極めし方にここまで言わしめた競輪は、どうして人類の英知の結晶であるコンピュータでさえ読み切れなかったのでしょうか。その理由について、複数の視点から見ていきます。
ラインが存在する
競輪の最も特徴的なものといえば、ラインでしょう。自転車に乗った人間がチームを組んで一本の線となり、別の線と頑強にぶつかり合うというコンセプトは、他のレース競技とはまるで違った趣を持っています。
これらは違う競技であれば、むしろアクシデントに類するものでしょう。しかし、競輪では通常であり、日常茶飯事です。ルールの中で相手の選手たちに自分の仕事をさせないのが競輪の戦い方であり、本懐でもあるといえるでしょう。
こうした数値化されていない人の筋力や体調によって競走の本質が変わる以上、コンピュータによって分析するのは困難でした。
人間の意図が絡み合う
さらに、人間がそれぞれの考えを読み合いながら走るため、あるいは調教された馬よりもベストな走りを発揮できるとは限りません。結果として、競馬よりも的中の難易度は増すことになります。
競輪は競馬のように16頭立てや18頭立てでは行われませんが、それでも当てられない混沌が潜んでいます。むしろ人の知恵によって人気本線と穴目の別線として意識の差が出るため、その意志のまざりあい方は余計に異様な色を生み出すでしょう。
もちろん、競馬でも騎手が相手の考えを読みますし、ボートも選手がそれぞれの動きを警戒します。ただ、馬が主役の競馬と、コース取りに大きな要素があるボートに比べて、競輪は決定的な重点が存在せず、一方でひとつでも材料が欠けると凡走もありえます。
天気や季節が大きく影響する
思わぬ展開の材料となりえるものに、天気や季節があります。これらはいずれも選手の体力を奪いますが、時としてそれを得意とする選手にアドバンテージを与えます。
競馬にも夏馬や冬馬、ボートでも天候や気候によるモーターの好調不調はあります。しかし、考えるのも漕ぐにも選手がやらねばならない競輪の場合、こうした環境の与える影響は、他の競技に比べて大きいものとなります。
コンピュータもある程度の気象データの取得はできますが、それが選手にとってどのような作用をもたらすかというところまで、読みきれない部分があるのが実情でした。
ただ、近年に入り、コンピュータも進化しつつあります。無数のデータを学習することによって、無数の推論の中から答えを「考える」ところにまで達したといえるでしょう。
おすすめのコンピュータ予想はAI指数
出典:AI指数
そこでおすすめなのが、「AI指数」というサイトです。こちらのサイトでは競輪を始め、競馬とボートレース(競艇)もあわせて、いわゆる3競の指数を無料で公開しています。
管理人にして開発者のシュウさんが最初に始められたのは競馬の指数開発で、独自開発したこのAI指数によって、ウマニティの地方競馬予想家ランキングで複数シーズンに渡ってチャンピオンになりました。
現在も月間3万ユーザーが使用するこのサイトは、公営競技の予想に関して、大きな助けになることは間違いないでしょう。なお、シュウさん本人が解説しているとおり、競馬は中央も地方も穴狙いで、競輪とボートに関しては本命よりの指数算出になっています。
そして、競輪においては本命系統の指数を出してくれていることで、軸選びには最適な仕様になっています。その優秀さがどれほど際立っているかを解説しましょう。
【車券実践】AI指数の活用事例
2020年12月1日、小倉競輪のF1開催である「西日本スポーツ杯」の全12Rを例にとってみましょう。本開催は全レースが7車立てで実施されています。
AI指数はこの開催で、ある特定の条件でかなりの精度を叩き出しました。それが「指数上位2選手の1着率」です。実際の結果をもとに、どれだけ優れたものであったのかを見てみましょう。
[AI指数上位2選手の着順 1位結果・2位結果]
1R:4着・1着
2R:1着・2着
3R:6着・1着
4R:1着・6着
5R:1着・3着
6R:5着・7着
7R:1着・5着
8R:4着・2着
9R:1着・2着
10R:1着・7着
11R:2着・1着
12R:6着・5着
1着率:12R中9R・75.0%
強い選手を2人も選べるなら、7車立てなら1着を当てるのは簡単とお思いかもしれません。しかし、競輪予想を長くしている人ほど、これが結構困難な事象であるとお気づきいただけると思います。
ましてライン戦によって、選手の力の増減が激しいのが競輪です。力のある本線が後方へと追いやられて、そのポテンシャルを発揮できずに沈むことも珍しくありません。
そうした人の織りなすゆらぎさえも読み切って、AI指数は数値を算定していると考えるのが妥当でしょう。それほどに確度の高い情報であれば、応用した時の破壊力は相当なものがあると想像できます。
何しろ、1着が結構な頻度で当たるわけです。これで高配当な2車単、さらには最高難度ながら劇的な配当が望める3連単への道も開けてくるでしょう。
AI指数を使うなら丸乗りよりもアレンジを
AI指数を使うにあたって、気をつけなければならない点があります。それは、AI指数の丸乗りよりも、自分なりのアレンジをすべきということです。
そもそも、AI指数には詳細な買い目の情報がありません。あくまでも指数情報を提供しているだけであり、それをどう使うかはユーザーの裁量に委ねられています。このため、ここで言う丸乗りとは、単純に上のほうにいる選手が強いと信じ込むことです。
競輪はラインで戦う競技です。すなわち、チーム戦であり、お互いが助け合い、また他のラインがそうすることを阻む競技の性質を持っています。
こうした観点で作られたAI指数における競輪の指数は、先述のとおりに間違いなく本命よりの指数となっています。すなわち、個々のタテの脚の強さや、ヨコの働きの大きさで、より良い着順を得るであろうと推定していると考えられます。
それによって、勝ちを得やすい選手が上位に来ているため、前の項目にあるとおりに1着に来る選手をずばり当てられているといえるでしょう。
この1着に来る選手を当てられることと、2着3着になだれ込む選手は、実はイコールにならないケースが多いと考えるべきです。実際、上記の1着率検証においても、1着にならなかったほうの選手は2着や3着よりも4着以下に敗れているケースが多くなっています。
実のところ、1着を取れる選手はラインの中で最も力があるパターンが多いでしょう。そうなると、どこかのラインが1着をもぎ取った結果、もうひとつのラインは負け側に追いやられていると考えられます。結果として、着外が目立つようになるわけです。
このため、2着や3着候補にもAI指数を活用する場合、ラインの状況も考えた独自の理論を組み立てて応用することで、大きな穴車券を狙い撃つことも可能になるでしょう。
もともとが本命よりの指数であるからこそ、指数として下位の選手にはそれだけの穴目の魅力があるともいえます。
競輪はコンピュータと人間の共闘で解明できる
競輪は一筋縄では攻略できない、それゆえにこそ魅力的なスポーツであり、ギャンブルであり、クエスチョンでもあります。
人間が予想しても、思ったようには当たらない。コンピュータが挑戦しても、人間は簡単に機械の思い通りにはならない。巨大な難問として、競輪はそこに存在しています。
しかし、ここまで述べてきたように、人間の知恵とAIの分析を組み合わせることによって、その難題さえも解明に至る道筋が作れるでしょう。自らの中にAIといっしょに戦う態勢が構築できたなら、思いどおりに的中をもぎ取ることも可能になるかもしれません。