競輪予想倶楽部は更新を停止している、いわゆる休眠ブログです。活動していた時期も短く、使っていたのも独自ドメインではない無料のアメーバブログで、世間に無数に散らばっている途中で飽きて放り出したブログの1つです。
しかし、更新が止まっているからといって、また運営者が飽きたからといって、何も価値がないと決めつけるのは早計です。実際、競輪予想倶楽部にはとても重要なデータが記載されていて、競輪ファンはそこから多くのことを学べます。
データの数は多くなく、本当にわずかなもので、統計としての価値は低いかもしれません。それでも、実際に試した人がいて、いつか消えゆくものとしてネットの片隅にあることは、あるいはインターネット時代のひとつの「遺産」と呼べるものではないでしょうか。
この記事では、競輪予想倶楽部という泡沫のように現れて消えていったブログから学べる、競輪予想にとって非常に大切な事実について考察します。
競輪予想倶楽部には重要な統計データが記載されているが
競輪予想倶楽部のブログ
https://ameblo.jp/keirinyosoubu/
競輪は、生半可な手段で解明できる競技ではありません。それゆえに、多くの競輪予想ソフトが挑んでは破れ、多くの屍を築いてきました。競輪必勝法なるものは昭和のころからいくつも出てきましたが、今まで残っているものはほとんどありません。
ある意味で普遍的な「出目理論」ですら、結局は確率の壁の前に敗北してしまったといえるでしょう。かつて唱えられた多くのロジックは、令和の日本においてほとんどが死滅してしまっています。
競輪予想倶楽部で試みられたのもまた、そうしたアプローチからの挑戦であり、やがてその大きな壁を感じて消えていったのでしょう。波が巨岩にぶつかっては消えるように、幾度となく繰り返されてきた営みです。
競輪予想は個人が一朝一夕で攻略できるものではなかった
作家にして博徒である阿佐田哲也氏、あるいは色川武大氏が語ったように、競輪はギャンブルの王様であり、多くのギャンブルを経験した人間がたどり着く終着駅でした。
鍛え上げた男たちや女たちが戦う、まさしくシンプルな競技であるにもかかわらず、その展開は無数の可能性に満ちています。
これは、競馬やボートレース(競艇)やオートレースが単純という話ではありません。むしろ、競馬もボートもオートも、今もって完全に攻略されていない事実を知るべきです。
万馬券、万舟券、万車券は毎日のように出ています。これは馬券舟券車券を買っているファンの思惑の多くが、完全に裏目に出ていることを示しています。
日本の公営競技は、パリミュチュエル方式で運営されている点に留意しましょう。いわゆる胴元がいったん売り上げを集めてから、控除率を差し引いたオッズを決定するシステムです。
これは事前にオッズが決められていて、またそのオッズが親によって刻一刻と変更され、親と子が直接勝負する形になるブックメーカー方式とは大きく違います。パリミュチュエル方式では、子同士がお互いの金を奪い合う形になるからです。
それゆえに公平な部分もありますが、もしも有効な予想法が誕生していたならば、当たるファンの数は増えていって、オッズはどんどん安くなっていくはずです。
しかし、そうはなっていません。競馬も、ボートも、オートも、3連複や3連単などのより組み合わせの多い券種の登場もあって、むしろ高配当への道を歩んでいます。
そういった事情は、競馬ボートオートよりさらに難しく、多くの不確定要素を包含している競輪にとって、特に顕著に見られるといえるでしょう。
競輪は人間が競い戦うレースでありバトル
出典:平塚競輪
この画像は、KEIRINグランプリ2020のメインイメージです。コンセプトにしてキャッチコピーは真ん中にすらっと書かれているとおり「ヒトは、強い」。
2020年12月現在、新型コロナウイルスの大流行によって、ホモサピエンスは種の一部を大きく減らすレベルでのダメージを受け続けています。その流行は先進国から新興国へと移行しつつあり、さらなる感染爆発が懸念されている状態です。
それでも、ホモサピエンスは知恵ある生き物であり、ヒトという種族は決して簡単に屈服しないでしょう。JKAが、そして平塚競輪が掲げたKEIRINグランプリのキャッチコピーである「ヒトは、強い」には、そうしたメッセージも込められているかのようです。
何より、競輪という競技はそうした強いヒトがぶつかりあうものです。たとえA級チャレンジであっても、その激しさたるや壮絶なものです。超高速で猛烈な傾斜のバンクを走りながら、時には落車覚悟で牽制し、体当たりし、頭突きをするのは曲芸に等しいでしょう。
それでも、競輪においてはそれが当然であり、車券を買っているファンはそうして自分のした予想が的中することを期待しています。タテの脚勝負だけではない、ヨコの勝負も含めての競輪の魅力だと考えています。
そうした心理は、国際的なケイリンルールに近いガールズケイリンでも変わりません。がっしりと鍛え上げられた才媛たちが激突するガールズケイリンにあっても、わずかな勝利への希望を目指し、リスクをとって戦う選手たちの姿はファンを魅了します。
競馬を見て、その馬の力強さや騎乗フォームが美しいと感じるように。ボートレースを見て、そのボートの激しい音やモンキーターンの流麗さに心を躍らせるように。オートレースを見て、公営競技で最も危険な競技に果敢に挑む選手たちに魂を燃やすように。
競輪においてもまた、数多くのファンが期待の希望とを両手に掲げ、ヒトの強さを信じ続けています。
そんなヒトが、また人間が、互いに力と思考とを戦わせるからこそ、競輪はどんな競技よりも予想をし、同時に的中させることが困難なプログラムになっているといえるでしょう。
競輪予想倶楽部が追い求めたものとは「人気」からのアプローチ
出典:競輪ニュース
あまりにも魅力的で、かつあまりにも大きい壁である競輪に、競輪予想倶楽部さんはどのように挑もうとしたのでしょうか。それは車券の人気を軸としたアプローチでした。
言ってしまえば、誰もが考える内容ではあります。しかし、形にして世に出したという1点について、大いに評価すべきでしょう。途中から地方競馬に切り替えてしまったブログに対して、読者が持つべき感想とは非難ではなく、学ぶ姿勢です。
では、どういった内容から、どういった教訓を汲み取るべきでしょうか。数少ない競輪の記事から、学びを得ていきましょう。
競輪予想倶楽部の2012年10月1日の記事をサンプルに考える競輪データ
競輪予想倶楽部さんは、「3連単の特定の人気層を購入したら儲かるのではないか」と考えました。競輪は最大でも9車立てで、すなわち3連単の組み合わせは「504通り」までが存在し得るパターン数になります。
しかし、多くの場合は人気どころが奮闘し、荒れても2ケタ人気での決着になることが中心であるといえるでしょう。100番人気台ともなれば万車券は確実で、200番人気台ともなればもう10万車券が見えてくる頃合いです。
このため、1ケタ人気から2ケタ人気の特定層を狙い撃ちし、車券で勝てないかと思うのは優れた発想です。当てずっぽうに買うよりは、よほど理知的な行為でしょう。そうした発想を行動に移した結果として、このような統計を発表しておられます。
●●● 向日町競輪場(10/1)
1- 5人気 4510円
6-15人気 5490円
10-29人気 32260円
15-34人気 26770円
20-39人気 26770円
25-44人気 10510円●●● 弥彦競輪(10/1)
1- 5人気 2390円
6-15人気 0円
10-29人気 8680円
15-34人気 8680円
20-39人気 20630円
25-44人気 34280円●●● 千葉競輪(10/1)
1- 5人気 5770円
6-15人気 4410円
10-29人気 25560円
15-34人気 33340円
20-39人気 33340円
25-44人気 22520円●●● 高松競輪(10/1)
1- 5人気 7520円
6-15人気 3580円
10-29人気 0円
15-34人気 0円
20-39人気 0円
25-44人気 12010円●●● 函館競輪(10/1)
1- 5人気 5330円
6-15人気 8440円
10-29人気 19410円
15-34人気 22500円
20-39人気 16900円
25-44人気 9600円●●● 京王閣競輪
1- 5人気 1930円
6-15人気 10020円
10-29人気 10480円
15-34人気 5690円
20-39人気 12860円
25-44人気 12860円●●● 小田原競輪(10/1)
1- 5人気 9280円
6-15人気 0円
10-29人気 9370円
15-34人気 9370円
20-39人気 9370円
25-44人気 9370円●●● 静岡競輪(10/1)
1- 5人気 490円
6-15人気 0円
10-29人気 30710円
15-34人気 30710円
20-39人気 49370円
25-44人気 42530円●●● 松坂競輪(10/1)
1- 5人気 3920円
6-15人気 7230円
10-29人気 19960円
15-34人気 16680円
20-39人気 24920円
25-44人気 24920円●●● 岸和田競輪(10/1)
1- 5人気 2000円
6-15人気 11520円
10-29人気 7680円
15-34人気 11640円
20-39人気 11640円
25-44人気 25390円
引用元:競輪10月1日の統計結果
https://ameblo.jp/keirinyosoubu/entry-11368870251.html
この統計は、非常に示唆に富んでいます。何より大きいのは「本命党が勝つことはとても大変」という事実でしょうか。
穴車券であれば、20点を11レースや12レース買っていたとしても、回収率が100%を超える可能性はあります。むしろ、当たった時点で勝ち逃げすれば、最高にハッピーな結末といえるでしょう。
しかし、それですら高松競輪のようにオケラで終わる可能性を秘めています。荒れない時はとことん荒れないのが競輪であり、あらゆるレース系のギャンブルに共通する「あるある」です。
そうした本命決着で終わっていた高松競輪ですら、本命党の1-5人気を買い続けた場合、ちょっとだけしか勝ちが拾えません。穴党なら爆発力で大きく先行できる可能性があるのに、あまりにも対照的な結果といえます。
競輪予想倶楽部の統計から考える「勝利」の定義
私たちが車券予想をするにあたって、競輪予想倶楽部さんの統計は重大なことを教えてくれます。それは車券を買った結果として、「何をもって勝利と認定するか」という問題です。
現実の企業活動においても、さらに大きな問題でいえば国家間の戦争においても、明確な数値や達成すべき目的を定めない限り、理想的な形で落着させることは困難です。
車券を当てるとして、その的中の気持ちよさだけを目的としていたら、やがて勝ちは負けに転じ、あんなにあった払戻金はいつの間にかすっからかんになってしまっているでしょう。
あるいは、楽しむなら楽しむ車券を買うと決めて、一切収支を気にしないのも手です。自分がそうしたいのであれば、そのように振る舞うのが正解になります。
競輪は魅力的な競技であるがゆえに、車券の購入というスタンスからどのように関わっていくか、改めて問い直してみるのは良い選択です。そうすると、自分が本当に求めていたものが見えてくるかもしれません。